Where is a place for us?

居場所はどこにある?入場予約


展覧会「居場所はどこにある?」Interviews

MOM+I マム・アンド・アイ

「居場所はどこにある?」展覧会設営風景
左:もりたみどり 中央:一平 右:エリン・マクレディ

MOM+Iというグループの活動について

エリス:私たちの活動は、不当な政策に対抗する必要性から出てきたんです。新しいプロジェクトを始めるというより、声を上げなければならない状況になった。一般的な家族やジェンダー、関係性の規範に当てはまらない多くの人たちと一緒に、私たちの状況に焦点を当てようと思います。今のシステムでは健康や社会保障、住居などに関して多くの人が不利になってしまうのです。私たちの作品が、社会が通常考える家族というものの概念を広げてくれることを望んでいます。家族は人生と同じく、常に動き変化するものなので。

一平さんへがMOMに加わり「MOM+I」として作品を作ろうと思ったきっかけは?

一平:僕は去年から新大久保UGOに携わっていますが、コロナ禍でオープンが延期になり、アーティスト、元引きこもりやギャルと共同生活を送っていました。全くの他人だったメンバーたちが、食中毒になった自分を看病してくれるなんてこともありました。コロナをきっかけとしてその場所に閉じ込めらることで、いつの間にかお互いが家族のように振る舞うようになっていました。そんな去年の経験もあって、MOMファミリーからこのプロジェクトのお誘いがあった時、家族について作品を作ることに興味が湧きました。そしてMOMファミリーが暖かく僕を迎え入れてくれたことがきっかけです。

「居場所はどこにある?」展覧会設営風景

日本では同性婚が認められていないため、エリンさんが性を変えたことによって緑さんとの婚姻関係が一方的に取り消されてしまう恐れがあるそうですね。理想の家族、また政府や社会制度についてどう考えますか。

エリス:理想的な制度って難しいよね。時代や人、場所は変化し続けるから。何が必要になるかわからないから将来の理想はこれだと主張するのは不可能だと思う。私たちは、家族とはこういうものだという型にはめられるのではなく、自分たちの現実の生活状況に即した制度の中で生きたいと思っている。

エリン:家族の形は家族となる当事者同士の決めること。政府と周囲はそれを認めてほしいですね。決めるのは私たちで、政府はそれをサポートするために存在しているはず。私たちが政府の決めたことに自分たちを合わせるのではない。政府は、人が幸せになるための道具であるのが理想だし、それがあるべき姿だと思う。結婚や家族に限らず。

少しずつではありますが、日本での同性婚の合法化に対する考え方や支持率も、数年前に比べて上がっています。社会の空気が変わってきたと感じますか?

緑:とても変わってきたと思います。この2、3年で全然違う。数年前はクィアとかトランスジェンダーという言葉すら一般に聞くことなかったように思うけど、今はみんな言葉を知っている。「単語」があるって本当に大事だと思います。

《FAMILY MOVE》
「居場所はどこにある?」展覧会場写真

みなさんにとって「居場所」はどこにあると思いますか?

エリス:みんなと一緒にいることが一番大事。周囲との関わりの中で自分がそこに存在し、活動する場所どこであれ居場所になり得ると思う。

エリン:家庭やコミュニティで考えると、大事な人がみんな揃っていたら居場所かな。気持ちがどこかに引っ張られていなくて、その時その場所に完全に存在していられるということ。

緑: 自分が認められている、必要とされてると思える瞬間とその場所ですね。

一平: 自分の意思で自分の選択ができる場所。そしてその選択が尊重される場所。

インタビュアー = 鈴木萌夏
編集 = 荒木夏実
協力 = 伊東五津美、姥凪沙、竹下恭可
写真 = 堀蓮太郎

MOM+I

マム・アンド・アイ

アーティスト名はマクレディ、オットソン、モリタとイッペイから取ったもの。エリン・マクレディ(Elin McCready)は青山学院大学の教授として言語学を教えるとともに社会問題に関係したプロジェクトを実施。エリス・オットソン(Elis Ottosson)は繊維素材を中心にガラスや石を用いた作品を制作。ファイバーアーティストでイベント企画も手がけるもりたみどり(Midori Morita)はマクレディと結婚21年目の婦婦。一平(IPPEI)は都市と人の関係性に着目した映像制作を行う。マクレディとオットソンは遠距離恋愛中のパートナー。一平はマクレディともりたと共に同居する。

展覧会「居場所はどこにある?」Interviews 一覧