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展覧会「居場所はどこにある?」Interviews

UGO ウゴウ

「居場所はどこにある?」展覧会設営風景
左端:山縣瑠衣 右奥:磯村暖 (ともにUGO実行委員会)

「新大久保UGO」との関わりについて

山縣:UGOは2020年3月にオープン予定だったので、もう1年くらいになりますね。コロナの影響によってオープンが本来3月の予定が10月になり、その7カ月間は現実行委員10人ぐらいの居場所でした。オープンしてからは実行委員というよりも、もう少しいろんな人の居場所になっていたと思っています。

三好:確かにねー。今は初期ほど贅沢には使っていないよね。

山縣:初期は誰かのための場所というよりも今よりもっとクローズドな雰囲気。

三好:自分は6月ごろに大阪から東京に来て、コロナ真っ最中の時で住む家もなかったから、とりあえずここに居候させてもらっていて、制作スペースも東京で借りるとめちゃめちゃ高いし俺らみたいな若い人は借りられない。あと俺は大学にも行ってないので、色々教えてもらったり、そうゆうのではめちゃくちゃお世話になった。

山縣:私は大学が全く使えなくなっていたので制作できる場所がなくて、それでここを使わせてもらったのが始まりです。新大久保UGOオープンの時に一緒に展示したのは、これまで国外で活動してきてた人たちで、日本での活動場所、コミュニティがないという話も聞いていたので、一緒に展示をやろうとなりました。それから一緒にスタジオで制作したりして発展していきました。

中尾:去年の3月に自分の誕生日の時に祝われにUGOに遊びに行ったのがきっかけです。その時のUGOは何もない倉庫が作品とゴミで埋まってるみたいな空間でした。自分は大学に行かなかったんですけど、でも表現はしたいと思っていたから場所を探して彷徨っていたいたこともあって、だんだん居付くようになった感じです。UGOにいることで大学に行っていたら関わらなかったような人たちと関わることもできるし。

「アートスペース」というよりはどちらかといえば生活としての場所が大前提としてあるのですか?

山縣:そうですね、徐々に場所に機能が加わっていって、一つの言葉で語れなくなってきた(笑)ギャラリーでもないし、スタジオでもないし、今は「UGOってどういう場所か」というより、周りの人がどういうものを持ち込んで、何が起きたか、それを話す方が輪郭が見えてくる気がします。自分たちでこういう場所ですっていうのが今までの取材でもすごく言いづらくて、個人の主観でしか言えないなって。

《°・:.。 ..。 .:・ ゚ょぅこそUGOアーカイブ☆:;;;:☆》Welcome to the UGO Archives
「居場所はどこにある?」展覧会場写真

一個人の制作に対して他のメンバーの関わりはありますか?

山縣:三好くんとかコンペに出す書類の書き方を教わっていたりしましたね。

三好:やっぱり大学に行っている人は知っている情報も多いからすごく助けになる。

山縣:制作の話も気楽にできているんじゃないかな。冬にここで一緒に路上で展示した時も、慣れない外でのインストールの技術をいろいろ学びました。基本的に個々の活動はきっちり担保しているというか別軸でここに関わっているというか、多分みんなそれは一緒なんじゃないかと思います。一平くんはそれこそUGOには居場所を求めてきたと思うんですけど、今はUGOを拠点にして、外に居場所を広げていく活動をしているように思えます。今回の展覧会でもMOM+Iとして映像制作を手伝っていて、自分で住み込みにいってドキュメンタリーを撮ったりと、制作の場を広げているからすごいなと思っています。

UGOがハブとなって、そこからつながりができていく構図が面白いですね。

山縣、三好:そうですね。それが理想的。

成人式の企画があるとか?

山縣:UGO実行委員からは三好くんと中尾くん、そして田村虹賀さんが加わって今3人で進めていて。

三好:年齢は全く関係なく「成人になりたい人」が対象。もともと俺がやりたいと思ったのはわざわざ中学校の仲良くなかった友達がいっぱいいる成人式は気乗りせぇへんなあってところからで、そんな話をしていたら「じゃあUGOでやっちゃえば?」って。それで中尾くんも同世代だからUGOの方が絶対楽しいじゃんってなった。周りの人たちも面白がってくれたし、俺と同世代くらいの20〜23歳くらいの友達とかも多くて。

中尾:UGOっていう場所があるんだから「自分たちで成人式やればいい」ということになって。ただ「成人式がやりたい」というよりは「成人って何?」ということを考え直す機会、自分の成人という表現をここでやろうというコンセプトです。

三好:中の装飾を手伝ってくれる人とか、ファッションショー手伝ってくれるとか、声をかけた人はだいたい50人くらい、もっといるかな?

三好さんがUGOの活動を続けている理由は?

三好:元々のきっかけは、UGOの前の壁画の依頼が来て、俺も大阪でくすぶって作品制作できてなくて、なんかしたいなと思っていたからちょうどいいやと思って。壁画の話は、もともとUGOのメンバーで知り合いとか友達がいて、ドローイングをinstagramに載せていたら声かけてもらいました。なんやかんや楽しすぎて3ヶ月住み込んで家も借りちゃって…という感じです。

UGO前壁画

UGOのメンバーのつながりや役割は外からはわかりにくいですね。

山縣:実行委員が当初10人ぐらいいて、その前から企画を手伝ってくれたりスタジオ利用してくれたりする人が20人ぐらいいます。コレクティブではないから、メンバー全員でやっているということが見えなくてもいいと思っています。関わってくれている色々な人を考えると、コミュニティは実行委員だけを指すものではないですし。

ご近所の方はここをどういう場所だと思っているんでしょうか?

中尾:正式オープンが10月だったんですけど、3月から10月まではがっつり生活していたんですよ。初めは「なんだこいつら」と思っている人もいたと思うんですけど、外で料理したりとか、作業していたら段々心を開いてくれて、よく遊びに来てくれるようになった。

山縣:オープンの時に頑張ってくださいってメールをくださったりして、すごく感動しました。

中尾:前は挨拶しても返してくれないなぁっていう感じだったけど、積み重ねがあって今は向こうからソラマメを頂くまでになった(笑)。

山縣:近くのミニストップの店員さんともすごく仲良くなって、休憩時間遊びに来てくれたりするんですよ(笑)。

新大久保の独特な雰囲気と、ビジュアル的にも奇抜な面々が集まるUGOには親和性がありますね。

中尾:新大久保って「どうやって生きてるの?」って感じの人で溢れていて、でもどうやって生きているかは、みんな詮索しない。だからこそ得体の知れない人が受け入れられやすいという空気はあると思います。

「居場所はどこにある?」展覧会設営風景

居場所というよりは住処って感じがしてきましたね。

山縣:生活感が拭えない(笑)

中尾:うまいこといいえる言葉がないんだよね。アートスペース?パワースポット?

一同:パワースポットはヤバい(笑)

中尾:何か特定の言い方はなくて、常に変わっていますね。

今回の展覧会で初めてUGOを知る方もいると思うのですが、そういう方にどのようなものを見せたいですか?

山縣:個人的に思うのは、「UGOってどういう場所なの?」って知りたい人が多いと思うんですけど、言葉で喋っても伝わりづらい。同時に、トップダウンの組織ではなく多機能な場とUGOを実行する集団。どういう人が関わっていて、どういう企画が持ち込まれているのかというような細かいところを少しでもお見せできたらと思っています。装飾とか場を騒がせるというか、色使いとか、そういうのは得意だと思うので雰囲気はそのまま移動できるんじゃないかと思っています。それ以外の資料的なところを頑張りたいです。

インタビュー参加メンバー = 中尾一平、三好彼流、山縣瑠衣
インタビュアー = 鈴木萌夏、伊東五津美
編集 = 荒木夏実
協力 = 姥凪沙、竹下恭可
写真 = 堀蓮太郎
UGO前壁画写真 = 松尾宇人

写真 = 高見知香

UGO

ウゴウ

コミュニティ「UGO」は、美術家やクリエーターを中心に2020年初頭に結成された。社会と多様性の問題に向き合う、アーティストとコミュニティのためのスペース「新大久保UGO」を運営し、展覧会やトークイベントなど様々な活動を展開。UGO実行委員会は現在、磯村暖、海野林太郎、佐久間萌香、丹原健翔、中尾一平、ぱにぱにぱにぱにともちんぱ、古家那南、三好彼流、山縣瑠衣で構成される。

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